研究課題
心理学における統計解析の新しい役割・意味を考察するために、本年度は3つの研究を行った。1つめはポジショニング分析における概念数と尺度数を効率的に増やす方法である。消費心理学の分野でしばしば用いられるSDデータは被験者×形容詞×概念の3相データであり、このデータを解析するためには形容詞×対象の数の変数を分析する必要があった。しかし変数の数が多くなると計算が効率的に行えない。そこで対象を分割し、個別にデータ収集をおこない多母集団の観点から、簡便に概念数を増やす方法を開発した。2つ目は尤度を使ったKmeans法の開発である。心理学の研究は、変数を分析することが多いが近年台頭してきた事例研究の高まりにより、個体に焦点を当てた研究が増えてきた。そこで使われるのが、個体を分類するクラスター分析であり、特に個体の数が多い場合にはKmeans法が用いられる。本研究では尤度を使った新しいクラスター分析法を提案し、その効果を調べた。3つ目の研究は検定力分析の普及に関する研究である。心理学の研究過程ではデータの分析の際に統計的検定が用いられることが多い。検定に際しては、第1種の誤りばかりでなく、検定力を同時に留意することが大切であるが、我が国の心理学研究ではこれまで、あまり検定力に注意がはらわれずに利用されてきた。本研究では、統計的仮説検定における検定力の重要性に関して、初心者にもわかり安い教材を作成し、フリーソフトであるRによってそれを実行する方法を解説した。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)
消費者行動研究 Vol.15
ページ: 19-36
New Trends in Psychometrics, Universal Academic Press Vol.1
ページ: 471-480
ページ: 425-432
Japanese Psychological Research Vol.51
ページ: 1-12
オペレーションズリサーチ Vol.54
ページ: 73-80