研究課題/領域番号 |
21530701
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
豊田 秀樹 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60217578)
|
キーワード | 認知科学 / ランダムフォレスト / 過剰ポアソンモデル / ID-POSデータ / k-means法 / 検定力分析 / 効果量 / クラスター |
研究概要 |
心理学における統計解析の新しい役割・意味の創造およびその教授法の開発として本年は(1)統計学のための線形代数の研究、(2)Rによる回帰分析・因子分析の教材の開発、(3)項目反応理論における入門的教材の作成、(4)共分散構造分析における数理的展望をおこなった。(1)に関しては、多変量統計学ではしばしば線形代数を多用する。しかし逆に多変量統計学を記述するために発展した線形代数も存在する。本年は、そのような線形代数学の演習問題の解答を多数作成した。(2)に関しては、心理学の領域では、その研究過程において回帰分析・因子分析が利用されるが、必ずしもその基礎的な知識が理解されていない。そこで近年、台頭が著しいR言語を用いて、しかしスクリプトにできるだけ依存しないような回帰分析・因子分析の教材を開発した。(3)に関しては10年の間に大規模試験の多くの場面で利用されるようになってきた。利用のすそ野が広がるにつれて、基礎として踏まえておくべき内容も高度化してきた。そこで本年は、10年の学問の進歩を踏まえ、次の10年に通用する入門的教材を作成した。(4)に関しては多くの心理統計学者の努力により、SEMは実践的なデータ解析ツールとして我が国に定着し、もう10年以上の時が過ぎている。入門から上級レベルまで日本語だけで学習できる環境がすでに整っている。主要なソフトウェアの国別売り上げから推測すると、研究者人口当たりのSEMの実践頻度は世界一といっても過言でない。以上の趨勢、状況を鑑み、SEM野理論的基礎を展望する教材を作成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に問題はなく研究は順調に進んでいる。引き続き気を引き締めて研究を続けたい。ただし本研究はPCの性能に頼っている面が多いが、思った以上にPCの能力が進歩し、またOSやアプリケーションのバージョンアップが早く、現有のシステム構成が古くなってきている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究はPCの性能に頼っている面が多いが、思った以上にPCの能力が進歩し、またOSやアプリケーションのバージョンアップが早く、現有のシステム構成が古くなってきている。その点だけが懸念である。来年度は計画を一部変更しPCのシステムを購入し直す必要が生じるかもしれない。ただし近年の計算機は性能が良く、最新のPCを購入しても申請した研究費の範囲で賄える予定である。
|