本研究は、児童の学習意欲や友人関係形成意欲、学級活動意欲を向上させる学級集団形成のモデルを開発することが目的である。本年度は、平成21年度と同様の取組を継続し、研究テーマに関するデータの蓄積を重ね、研究を計画通りに展開することができた。内容は下記のとおりである。(1)学級集団の状態と児童の学習意欲・友人関係形成意欲・活動意欲との関係、学級集団の状態を規定する要因を、1年の中で4回にわけて調査・分析した。(2)4回の分析結果を時系列の中で整理し(成熟一後退という両方向で整理する)、学級集団のいくつかの発達過程とそれを規定する要因を見出した。(3)その中から目的とする学級集団形成の発達モデルを抽出し、各段階ごとの学級集団の状態を規定する要因を整理し、一覧にまとめた。(4)以上のプロセスを通して、児童の学習意欲や友人関係形成意欲、学級活動意欲を向上させる学級集団形成のモデルを概ね作成することができた。 さらに、新たに本年度は、標準化された学力検査と平成21年度の結果から作成された学級集団の状態・教育作用を測定する尺度リストも実施でき、次の成果も得ることができた。(1)学級集団の状態・教育作用を測定する尺度を完成させるデータ、(2)学級集団の状態ごとの児童たちの学力の定着度を検討するデータ、そして前年度から継続することによって、(3)前年度からの継続学級と学級編成替えのあった学級を比較するデータ、である。 来年度は、平成21年度、22年度で蓄積したデータを整理・分析し、本研究テーマにそってまとめと考察を行い、その成果を、研究内容と関連する学会等で論文・ポスター発表するとともに、シンポジウムを主催し、他の研究者及び学校現場の教師に意見を求めることも行う予定である。
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