研究概要 |
平成21年度に予定していた追跡調査該当児30名中20名は郵便不達であった。返信あった10名中4名が協力辞退で,6名の協力を得て心拍,脳波,ERP,WISC-IIIの測定を施行した。協力辞退の理由は,進学準備・部活動で多忙,脳波測定時の電極ペーストに抵抗ある(女児)等であった。 心拍に関しては副交感神経の働きを意味する高周波領域を明瞭に示す児が存在した。脳波は非対称性を明瞭に示す児と対称性を示す児が存在した。ERPに関してはP300を明瞭に示す児が存在した。P300は聴覚刺激に対する集中力によって出現の有無が生じ,WISC-IIIの各領域との関連性を詳細に検討する必要がある。 また,アタッチメント・パターンを再分析した結果,全サンプル中D群児の占める割合は約18%であった。これは欧米で報告されている低リスク群におけるD群児14~20%に類似する数値であった。本研究の協力者は健康な家庭にて生育している児であり,母親の敏感性は高い。従って新生児期の特徴であるNBAS結果との関連性を検討する必要がある。 次年度以降,症例数が増えた段階でNBASを代表とする新生児期データと今回測定した心拍,脳波非対称性,ERP,WISC-IIIの結果との関連性を統計的に検討する予定である。
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