富山大学・学生支援センター・トータルコミュニケーション支援室を窓口として、大学生活におけるサポートを希望する発達障害大学生を、PSNS(psycho-social networking service)システムによるWebサポートに登録した。サポートチームのコーディネート、個々の支援計画の策定は、主として連携研究者の西村が担当した。PSNSシステム上において、個々の学生に対するサポートチームのためのコミュニティ、物語共有の場を提供することを直接の目的とした心理教育的コミュニティ、日記機能を活用した体験交流、メッセージ機能を利用した個別相談などの多様な機能を、個々の学生に応じてカスタマイズし、継続的にWeb上での交流を行った。PSNSシステムの運営と、個々の学生に対するWeb上でのサポートツールのマネージメントは、主として連携研究者の吉永が担当した。 Web上で交流される全てのテクストはログとして保存、収集、整理し、質的分析のデータとした。テクストの分析は、物語(ナラティブ)分析、クラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて行った。支援対象学生の個人インタビューあるいはフォーカスグループ・インタビューを行い、そのトランスクリプトも分析の対象とした。物語分析は主として斎藤が担当し、グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた分析は連携研究者の吉永が担当した。資料の収集・整理・研究の補助として、支援研究員を雇用した。 物語共有による経験的学習の手法について、保健医療領域での先進的な実践と研究が行われている英国ロンドン大学において調査を行い、物語共有、質的分析、アクションリサーチの方法論を本研究に適合させるための情報収集と研究打ち合わせを行った(2009.6.30-7.4)。
|