研究概要 |
平成23年度は思春期の子育てを支援するための複数の多面的なプログラムを開発し,その効果を検証することを目的とした。本研究では,多面的なプログラムを,主に調査研究から得られた思春期の親子関係,養育態度に関する知見を提供する「情報的サポート」と,グループでの体験学習に基づく「認知的・感情的サポート」の2種類に分類した。 1.情報的サポートでは,思春期の子どもの成長に対する認知・感情,子どもとの良好な関係を構築・維持するための養育スキル,親子の相互信頼感などの重要性を検証した。そして,これらの研究知見をニューズレターやホームページなどを媒介にして保護者に提供するシステムを検討した。 2.体験型プログラムに基づく「認知的・感情的サポート」では,保護者が自身の養育態度を心理テスト(PATと命名)によって測定し,自己理解を深めるプログラム,親子間の葛藤(言い争いなど)が生じる心理的メカニズムの理解と葛藤解決のためのコミュニケーションのあり方を学習するためのプログラム,思春期の春期の子どもとの良好な関係を構築・維持するための養育スキルを学習するためのプログラム,の3種類を開発した。また,体験型プログラムの効果測定においては,子育て支援プログラム体験尺度を開発した。平成23年度は後者2つのプログラムを行う研修会を3回実施し,中学生の子どもをもつ23名の保護者の参加が得られた。その結果,子育て支援プログラム体験尺度や自由記述のデータから,プログラムは多くの参加者にとって,新たな気づきや理解を生み,相互的なサポートの効果があること,また,プログラム実施によるリスクは低いことが検証された。
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