研究概要 |
本研究では,思春期の子どもをもつ親を支援するための多面的な心理教育プログラムを開発し,その効果を検証することを目的とした。思春期の子どもとその親を対象にした基礎的な調査研究と行動観察の研究成果に基づき, 3種類の心理教育的プログラムを開発した。第1のプログラムは,養育態度尺度を使用して親が子どもに対する認知や感情,行動についての理解を深めることを目的とするものである。第2のプログラムは,親子間葛藤の理解と葛藤解決の方法について学習するためのプログラムである。そして,第3のプログラムは,子どもとの良好な関係を構築,維持するための行動を理解するためのプログラムである。また,これらのプログラムの効果を測定するための尺度を開発した。この尺度は子育て支援プログラム体験尺度と命名され, 4つの下位尺度(自己の理解と向上,子育ての動機づけ,肯定的な気持ち,否定的な気持ち)から構成された。中学生の子どもをもつ親に対して,これらのプログラムと子育て支援プログラム体験尺度を実施した結果,思春期の子どもをもつ親にとってこれらのプログラムは有用であり,学習のための良い機会を提供していることが検証された。
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