本研究では、心理検査を用いたアセスメントのプロセスに着目し、アセスメントの結果として得られた所見をクライエントやその関係者にどのようにフィードバックするか、的確なフィードバックをするためにはどのようなアセスメント・スキルが必要とされるのかを明らかにすることを目的としている。 初年度は、フィードバックに関する理論的枠組みを構築することを目標として、(1)文献収集、(2)学会・研修会(日本心理臨床学会、日本ロールシャッハ学会等)における全国のアセスメント専門家との意見交換により、フィードバックをする際の留意事項等を整理する作業、(3)研究代表者が開催する研究会(月1~2回で継続中)での具体的な事例検討の中で若手臨床家から出された困難点およびその対策や工夫などを整理する作業を行った。これらは次年度も継続していく予定である。統一書式を作成し、データとして蓄積していく。 さらに、心理アセスメントの実践教育内容を充実するために、アセスメント技法における指標の明確化のための基礎研究を行った。ロールシャッハ法のスコア再検討についての学会発表、S-HTP描画法の青年期の特徴をテーマとした論文投稿(採択済)、大学院生その他比較的初心の心理臨床家に役立つことを意図した共著書を出版し、心理検査の所見フィードバックについて論じた。
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