研究概要 |
平成21年においては8回の研究打合せ会議を開催し,下記の研究成果を得た。 1.投影法課題遂行時における脳活動,ならびに,近赤外分光法(NIRS)による認知課題遂行時の脳機能計測に関する研究文献を国内外にわたって広範に収集整理し,それらの知見を分析した。その際,資料の収集整理の補助として1名の大学院生を雇用するとともに,研究代表者と研究分担者により分担して日本ロールシャッハ学会を中心に関連諸学会に参加し情報の収集に努めた。以上の成果について,大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンターの紀要『学校危機とメンタルケア』において2本の学術論文として公表した。 2.NIRSによるロールシャッハ課題遂行時の前頭葉脳血流動態の計測実験をおこなうために予備実験研究を実施した。予備実験は,休息時と課題時の血流動態の比較をおこなう基礎実験シリーズと,発声ならびに視覚刺激を統制した統制実験シリーズの確立を目的とし,適切な刺激提示プログラムの作成,実験機器の設置,実験デザインの構成等について検討するものであった。なお,実験計画と実験実施手続きについては,神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究倫理審査委員会に申請をおこない7月21日付にて承認をえている。また,本研究で用いるNIRS計測機器である日立メディコ製『光トポグラフィETG-7100』の操作方法とデータ解析について,適宜同社技術担当者によるサポートを受けた。実験期間中7名の実験協力者による参加を得,基礎実験デザインを確立するとともに必要な実験データの収集を終えた。その後,得られたデータに対し統計手法を用いた解析をおこない,その結果を検討した。 次年度は,1.の文献資料研究を継続するとともに,2.のNIRS実験研究の成果を日本心理学会第74回において発表し,その結果を受けて統制実験シリーズを中心とした実験研究を継続する予定である。
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