研究概要 |
本研究の目的は、臨床心理士訓練生を対象に、「負の効果の学習度」ならびに「内的作業モデル」と「リアリティ・ショック」との関連性を明らかにし、臨床心理士養成プログラムの課題を明確化することである。具体的には、以下の仮説を検討する。(1)心理療法の負の効果について教育を受けて、認識を深めている訓練生は、リアリティショック尺度得点が低い。(2)訓練生の内的作業モデル(対人関係のパターン)によって、リアリティショック得点は変わる。アンビバレント型がもっともショックを受け、回避型がもっともショックを受けない。 (財)臨床心理士資格認定協会第1種指定大学院144校に調査を依頼、69校の協力を得て、初任臨床心理職者および大学院修士課程2年生に質問紙1538部を配布、郵送法により回収した(2010年12月~2011年3月)。質問紙の構成は、以下のとおりであった。 修了生用:(1)リアリティ・ショック尺度(予備調査に基づき作成) 「職場の人間関係」「心理臨床実践能力」「クライエントとの面接関係に」「仕事のやりがい」「研修体系」計5因子27項目から構成される。 (2)負の効果学習度尺度(先行研究により作成) 「面接機序」「心理面接の誤用」「クライエント側の要因」「技法・理論の適用上の限界と禁忌」計4要因17項目から構成される。 (3)内的作業モデル(戸田,1988) (4)バーンアウト尺度(久保・田尾1992) 院生用:(1)リアリティ・ショック尺度(同上) (3)負の効果学習度尺度(同上) (4)内的作業モデル(戸田,1988) 大学院生調査票の回収率は45.2%(365票)であったが、初任者調査票の回収率は19.5%(143票)に留まった。そこで、修了生を対象とした調査は延長し、引き続き協力者を募集する。院生データについては、現在解析中である。
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