| 研究概要 |
これまで小学校高学年から中学生を対象にいじめ・抑うつの予防をねらいとして開発・実践を行い建設な変化が得られている心理教育的プログラム"サクセスフル・セルフ"は,年4回程度の単年度実施で行ってきた。さらに内容や方法を充実させ,実施可能な対象者を広げ,思春期から青年期に亘って心の健康を継続的に育んでいくプログラムへ発展させていくために,これまでの本プログラムに関する実践研究・基礎研究・先行研究の概観を踏まえて,これまでのレッスンを改訂し,新たなレッスンを追加し,1レッスンにつき1～2時限を使用し,12のレッスンで構成された"サクセスフル・セルフ2"を作成した。
協力の得られた小中学校でプロセス評価研究を実施したところ,"サクセスフル・セルフ2(思春期向け)"は,環境への適応をサポートし,問題への予防が可能と示唆された。得られた結果を基盤に,さらに加筆修正を行った。協力の得られた小中学校で,アウトカム評価を行ったところ,いじめの減少,学校適応,情緒の安定が見られた。本プログラムは,青少年の情緒的および行動上の問題を予防し,心の健康を育むことが可能であると示唆された。実施に際しての配慮点として,研修会の実施,対象集団の実態ならびに課題を見立て,その上でレッスンを選択することが必要である。また,実施する教員間で十分な検討を重ねるとともに,適宜開発者へコンサルテーションを行い,双方が綿密に連携しながらレッスンをすすめることが大切だと考えられた。
サクセスフル・セルフ2(青年期向け)については,これまで実施してきた"サクセスフル・セルフ"を大学生用に改訂し,プロセス評価を行ったものをさらに改訂して,アウトカム評価を行った。その結果,大学での授業を活用した"サクセスフル・セルフ2(青年期向け)"は,対人関係の自己効力感の向上,情緒の安定をもたらす可能性が示された。
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