研究課題
まず、活性・不活性正負感情を同時に測定する質問紙と正負感情別の感情表出抑制を測定する質問紙を作成した。最初に、これまでの関連尺度を参照し複数の研究者で内容的妥当性を付与しながら、質問項目と教示等を作成し最初の版を作成した。その後、496名の大学・大学院生に実施し、同時に併存的妥当性の確認のため、日本語版PANASと多面的気分尺度、一般コーピング尺度の感情表出尺度を測定した。その結果、活性・不活性正負感情尺度は4因子からなり、それぞれ活性・不活性正負感情から構成される下位尺度となった。α係数はいずれも高く、併存的妥当性も示された。また、正負感情表出抑制尺度も2因子の構造が確認され、α係数も許容範囲のもので、併存的妥当性も確認された。次に新尺度を用いて、活性と不活性の正負感情と正負感情の表出抑制が抑うつと短期生活満足感に及ぼす影響が調べられた。対象は男女大学生ならびに大学院生で、上記2尺度と抑うつ測定のためのCES-Dと短期生活満足感尺度が実施された。階層的な重回帰分析の結果、主効果では活性・不活性感情で結果は変わらず、抑うつでは正感情は負、負感情は正、短期生活満足感では主感情は正、負感情は負の効果をもたらした。交互作用は活性感情にだけ認められ、感情表出の高低で活性負感情が及ぼす抑うつと短期生活満足感への効果が異なった。その後、活性・不活性正負感情尺度と同じ健康尺度を用いて、感情バランスと正負感情の交互作用効果を検討した。その結果、多様な交互作用がみられ、抑うつでは女性で活性負感情が高い場合ほど活性正感情の負の効果は高く、短期生活満足感では、男女で活性負感情が弱いほど活性正感情の正の効果が強いことが、男性で不活性負感情が低いほど不活性正感情の正の効果が高いことが示された。こられの研究から、正負感情と表出抑制を介入因子とした介入研究のあり方が考案され、同時にその課題点が考察された。
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Research Bulletin of Educational Sciences (Naruto University of Education)
巻: 27 ページ: 1-11
Psychology, Health & Medicine
巻: 16 ページ: 313-322