研究概要 |
(1)神経心理検査における利き手の決定法 利き手の決定法には,片手で運動や動作をする際に好んで使用する手を尋ねる方法(作業偏好性)と,運動課題の左右の遂行成績を比べる方法(動作遂行優位性)がある。本研究では128名の大学生に,利き手の代表的な質問紙であるエディンバラ利き手検査(EHDと5つの片手作業課題を実施し,作業偏好性と動作遂行優位性の関係を検討した。重回帰分析の結果,ドット打ち課題,タッピング,ペグボードの組み合わせが作業偏好性を最も良く予測することがわかった(学会発表1題,論文執筆中)。 (2)腕組み・指組みの左右偏好と利き手の関係 潜在的な利き手傾向を反映している可能性が指摘されている腕組み,指組みにおける組み方(どちらを上にするか)と,一般的な質問紙(エディンバラ利き手検査)で測定した利き手の関係を,日本の大学生352名で検討した。その結果,特に腕組みが左上,指組みが右上のパターンを示したグループで左利き傾向が高い可能性が示された(学会発表1題,論文投稿中)。 (3)左右識別能力と心的回転能力 左右識別能力を測定する人型線画課題のパーソナル・コンピューター版を作成し,その成績と心的回転課題の成績の関係を37名の大学生を対象に検討した。その結果,心的回転能力が左右識別能力に関与することが確認された(論文1編)。 (4)自己身体部位の認知に関する研究 自己の身体部位の写真を他者の身体部位と混ぜて呈示した場合,それを選び出すことが難しいかどうかを,女子大学生31名を対象に検討した。その結果,今回検討した手と足に関しては先行研究とは異なり,高い正確さで自己の同定が可能であることが示された(論文1編)。
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