研究課題/領域番号 |
21530735
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
橋本 伸彦 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (20534762)
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研究分担者 |
仲秋 秀太郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (80315879)
古川 壽亮 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90275123)
三村 將 昭和大学, 医学研究科, 准教授 (00190728)
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キーワード | 強迫性障害 / 行動療法 / 脳形態画像 / 高次脳機能 / 前頭葉 / VBM |
研究概要 |
(背景)強迫性障害の病態形成には、前頭前野と皮質下をむすぶ神経ネットワークの異常の関与が想定されている。近年の脳画像研究は、前頭葉眼窩部と前頭葉内側面が、行動療法の治療効果に関して中核的役割を果たすことを示した。しかし、行動療法の治療反応者と非反応者の脳形態画像および高次脳機能の差異に関しては、検討されていない。そこで、この研究では、VBM法を用いた頭部MRI解析方法と高次脳機能の解析により、治療反応者と非反応者の差異に関する病態解明を目的とした。 (対象と方法)名古屋市立大学精神科にて、SCID-Pにて強迫性障害と診断された患者で適格基準を満たす患者39名を対象とする。行動療法のオープントライアルを開始し、治療開始前と開始3ヶ月後に治療効果を検討し、治療反応者と非反応者に分ける。同時に、名古屋市立大学病院のMRI装置にて、全脳をカバーする3次元収集T1強調画像の撮影方法で、頭部MRIおよび高次脳機能検査のデータ収集を治療開始前に施行する。治療反応の基準は、Yale-Brown Obsessive-Compulsive Scale(Y-BOCS)の総得点が35%以上の改善を行動療法が有効であると判定する。画像データ解析はSPM5により解析をおこなった。(結果)行動療法の治療反応者(24名)と非反応者(15名)では、ベースライン時におけるTrail Making Testなどの注意・実行機能に有意な差異があった。行動療法の治療非反応者では、治療反応者に比較して、前頭葉眼窩部と内側面の灰白質体積や帯状束の白質体積が有意に減少していた。(考察)行動療法の治療非反応者では、行動療法において中心的役割を果たす前頭葉機能の一部(前頭葉眼窩部と内側面など)に脆弱性があると想定される。これらの脆弱性が、高次脳機能やVBMによる脳形態解析により明らかになった。 これらの成果の一部を学会にて報告し、英文論文として準備中である。分担研究者の古川は今後、連携研究者として協力していく予定である。
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