研究課題/領域番号 |
21530736
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研究機関 | 下関市立大学 |
研究代表者 |
横山 博司 下関市立大学, 経済学部, 教授 (80158378)
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研究分担者 |
森 邦恵 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (10360893)
岩永 誠 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (40203393)
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キーワード | 仕事への動機づけ要因 / ワークストレス / 看護職 / 介護職 / 急性期の病院 / 慢性期の病院 |
研究概要 |
本研究の目的は、看護職・介護職を対象に、職務への意欲を高めると推測される給料や休暇日数、労働時間、職場の人間関係等の動機づけ要因とワークストレスとの関係を検討することである。調査の結果、給料に対する満足度や他の医療職と比較した給料といった労働環境に対する自己評価や、収入の変化、勤務時間や通勤時間の変化、職場での人間関係や担当患者の変化、職場設備の変化といった動機づけ要因がストレスの増減と関係していることがわかった。さらに、看護師と介護士、職場が急性期か慢性期かの病院の違いによっても、収入や勤務時間といった動機づけ要因のストレスへの影響度に違いがあった。急性期の病院に勤務する看護師では、収入の増加、勤務時間の短縮のような動機づけ要因のワークストレス低減の影響度が、慢性期の看護師や介護士よりも大きいことがわかった。介護職と比較して、急性期の病院の看護師の収入は保障されているにも関わらず、自分の仕事と現在の給料とがバランスがとれておらず、現状維持のままでは、ストレスは十分に低減されないことがわかった。また、職業選択の際の動機づけ要因として、給料よりも仕事のやりがいや自分に合った仕事であるか、あるいは職場環境や勤務体制を重視した人ほど、仕事に対する嫌悪感や不満足感が低かった。その一方で、現在の給料に対する満足度、他の施設と比較した給料の高さ、仕事内容に伴った給料の高さに満足している人ほど、仕事に対する嫌悪感は低く、満足感も高かった。職業選択の際に給料以外の動機づけ要因を重視している人ほど、仕事に対する嫌悪感は低く満足感も高く、その一方で、給料に対する高評価が嫌悪感や不満足感を下げることは、矛盾しているようであるが、給料の高さは単に収入に対する満足感を示すのではなく、仕事に対するプライドや自分の職業に対する評価、やりがいと関連してストレスを低下させると考えられる。また、看護職・介護職は、ワークストレスに対する具体的及び認知的対処行動をほとんどとっていないことがわかった。
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