研究概要 |
PTSDの治療法として海外で高い評価をうけている長時間曝露法(以下PE療法)は、わが国でもすでに有用性を確かめられている(Asukai, Saito, Tsuruta et al. 2008)。しかしながらわが国では実施できる専門家や施設が未だ極めて限定されており、容易に利用できるに至っていない。PE療法の実施には技法の研修だけでなく、適切なスーパーヴィジョンが必須である(NICEガイドライン,2005)。本研究の目的は、スーパーヴァイザー育成を含めたPE療法の専門家養成であり、研究2年目である本年度は以下のような成果を得た。 ・上智大学臨床心理相談室及び関連施設においてPE療法の対象者募集を引き続き積極的に行い、定期的スーパーヴィジョンの下での治療者トレーニングを実施した。また治療前後及び追跡調査時点での症状評価データを蓄積した。 ・よりガイドラインに沿った治療対象者を募集するために、ウェブサイトの修正を行った。 ・研究分担者の指導の下で、昨年度米国でスーパーヴァイザー訓練を終了した2名の研究協力者を中心に、3月19日-21日の3日間(24時間)技法研修会を開催し、指導法の訓練と、関連施設の臨床心理士等を中心に技法の普及をはかった。 ・PE療法で得られた知見をもとに博士論文を執筆し、受理された。
|