本研究の目的は、青森県A町において自殺予防のための啓発活動(従来の医療モデルとは異なる、心理社会的な視点からの介入)を行い、その効果を質問紙調査などにより検討することであった。 本年度は、昨年度に引き続き、心の健康をテーマにしたチラシ(カラー印刷、A4サイズ両面1枚)を申請者らが作成し、回覧板による告知に合わせ町内で毎戸配布した。各月のテーマは、4月「一人で悩まず相談を」、5月「ひとの話は最後まで」(傾聴)、6月「自分の想いをきちんと言葉に」(コミュニケーションの取り方)、7月「体の調子を整えましょう」、8月「心の調子を整えましょう」、9月「いまあなたができることは?」、10月「困ったときはまず相談」であった。チラシは、イラストのスペースを多くとり、内容も生活や心身の健康に密接に関連したものにしており、昨年度に引き続き、わかりやすいとの評価を得た。 チラシおよびビデオ(昨年度の事業)による啓発効果を測定するため、町役場の協力を得て、町内在住の30歳以上70歳未満の人の中から無作為に1000名を抽出し、郵送による質問紙調査を実施した。現在、データ入力の作業を進めているところである。なお、昨年度実施した調査のデータを分析したところ、ビデオを用いた啓発効果が認められた。結果は日本精神衛生学会第26回大会で発表した。 保健福祉課の職員とおおむね2週間に一度は電話で連絡を取りながら研究を進めていることもあり、実施に関して大きな問題は生じていない。
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