本研究の目的は、心身障害、認知症等を主とした高齢者領域で開発を行ってきた「音楽療法用評価表」MTCL-YK(S)」を用いて、リハビリテーション病院等の医療領域においても適用可能な評価表として改訂・開発を行うことである。 本研究におけるH22年度の研究実施計画は、(1)MTCL-YK(S)の信頼性検証1と修正案1の作成<調査1>と(2)MTCL-YK(S)の妥当性検証1<調査2>(3)MTCL-YK(S)の信頼性検証2と修正案2の作成であった。まず、音楽療法実践が開始された各現場において、現在のMTCL-YK(S)を用いて、約4ヶ月間、音楽療法の対象者個々人についての評価を行い、評価のしづらさや問題点を明らかにし、評価表使用に際しての視点・視座の統一を行った。そして問題点としてあがった点について、精神医学、臨床心理学、音楽療法でのそれぞれの専門家間で検討を重ね、下位項目あるいは数量化手法についての修正案1を作成した<調査1>。 さらに、情報の得られる医学的・心理学的指標(心理検査や医学的検査等)の結果との相関を分析し、併存的妥当性検証について分析中である。また、厳密な信頼性検証を行うために、音楽療法実践の録画映像を、研究協力者間で同時に視聴し、行動観察を行うための、録画映像を集めているところで、修正案2にとりかかっている。
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