研究概要 |
平成21年度は(1)福山市に在住する幼児の母親を対象として,うつスクリーニング・テストの開発および(2)幼児の母親を対象としたうつ予防プログラムの開発,が研究目的であった. (1)の幼児の母親を対象としたうつスクリーニング・テストの開発に向けた予備調査として,うつ傾向とストレス・プロセスを明らかにする質問紙調査を福山市に在住する1歳半児と3歳児の養育者に実施した.その結果,約2割の母親でうつ傾向が高いとの結果が得られた.1歳半および3歳児の母親の間でうつ傾向,ストレッサー,認知的評価,コーピング等の尺度構成に違いはなかった.うつ傾向の高い母親について,うつ傾向とストレス・プロセスとの関連を検討した結果,どちらの年齢の母親においても,ストレッサーでは「子どもの行動」得点が高く,「問題解決・サポート希求」コーピング得点が低いことが明らかとなった.そこで,これらの結果に基づき,(2)うつ予防プログラムの開発を行うこととした.今年度は少数の母親を対象としたうつ予防プログラムの予備調査を行うために,以下の5つを各回テーマとして,5回からなるストレス・マネジメント・プログラムを1歳半児の母親を対象して実施した.各回のテーマは(1)どうしてストレスを感じるのか,(2)考え方を変えてストレスを減らそう,(3)子どもん上手なほめ方・叱り方,(4)子どもの困った行動を変える方法,(5)上手なリラクセーション法,であった.これらは,調査結果から明らかになった子どもの問題行動への対応と問題解決コーピングへの介入,サポート希求をコーピングレパートリーに取り入れる方法,うつ傾向になった時のコーピングなどを中心として作成されたプログラムである.今後は,多人数の母親を対象としたうつ予防プログラムの開発を,今回のプログラム実施の結果に基づいて行っていく.
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