研究概要 |
本研究の目的は福山市を中心に子育てをしている母親を対象としたスクリーニング・テストの開発,うつ傾向の母親を対象としたうつ予防プログラムの開発,およびその実施と効果の検証である. 本年度はうつスクリーニング・テストの開発を目的とした質問紙調査を実施した.具体的には福山市保健所が実施している乳幼児健康診査を受診する1歳半児および3歳児の保護者を対象として,抑うつ傾向と抑うつ傾向の要因であるストレス状況についてストレス・プロセスに基づく質問を併せて行った.また,抑うつ傾向と関連があるソーシャル・サポート,セルフ・エフィカシーについても尋ねた.この結果に基づき,抑うつ傾向の高い母親に共通するストレス・プロセスの得点分布,またソーシャル・サポートを明らかにすることで,適切なスクリーニング・テストの開発が可能となり,このようなテストは母親のうつ予防のためにも重要である. また,これまでにうつ予防としての認知行動療法に基づいたプログラムの有効性が認められているが,母親を対象として開発された者は見受けられない.そこで本年度は,プログラム開発を目的として,少人数の育児にストレスを感じている母親を対象としてプログラムを実施し,その効果の検証をすることとした.プログラムは先行研究でうつおよびストレス要因としてあげられている項目に対するストレスマネジメントを中心として作成された.具体的には申請者がリーダーとなり,大学院生1名をサブリーダーとし,8~10名の母親を対象として,1回1時間半の講義と実習からなるプログラム全4回を実施した,プログラム実施の結果,抑うつ傾向およびストレスの軽減が認められ,このようなプログラムが母親のうつ予防に一定の効果があることが明らかとなった.
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