研究課題/領域番号 |
21530755
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
菊池 安希子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所司法精神医学研究部, 室長 (60392445)
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研究分担者 |
岡田 幸之 国立精神・神経センター, 精神保健研究所司法精神医学研究部, 室長 (40282769)
安藤 久美子 国立精神・神経センター, 精神保健研究所司法精神医学研究部, 室長 (40510384)
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キーワード | 司法精神医学 / 解法精神障害者 / 再犯要因 / 介入プログラム / 認知行動療法 |
研究概要 |
本研究の目的は、触法精神障害者の社会復帰を促進するために、基本的な精神科治療に加え、生活上の問題解決につながる認知スキルの向上が重要であるとの視点から、触法精神障害者を対象とし、攻撃性や怒りの制御に関係する要因を明らかにするとともに、問題解決力を向上させることを目的とした認知スキルプログラムを実施した場合の介入効果を明らかにすることにある。 初年度は、まず、本邦の精神障害受刑者に対する一般的他害行為防止プログラムを開発するために、知能検査、自記式調査、精神医学的診察などによる評価を行い、問題解決力や攻撃性と怒りの制御に対して、衝動性や視点取得などの要因が及ぼしている影響を明らかにすることを試みた。知的障害のない精神障害受刑者の人数が極めて限られることから、本年度のデータ数は27名であった。本年度データからは、精神障害受刑者では非受刑者に比べて、衝動性が極めて高く、共感性が低いことが示唆された。問題解決能力を従属変数とした重回帰分析の結果によれば、衝動性および共感性が有意に影響を及ぼしており、介入のターゲットとすべきことが示された。また、怒りの制御については、共感性の中でも視点取得能力と、個人的苦痛能力が有意に関連していることが示された。データは次年度以降も収集予定である。 一般的他害行為防止プログラムの開発のため、医療観察法対象者に実施されている同種のプログラムを受刑者向けに改訂し、試行することで実施可能性を確認した。10名の精神障害受刑者に実施したところ、介入前後で衝動性、共感性に有意な変化はなかった。怒りやすい傾向(特性怒り)得点および怒りの制御傾向の改善が見られた。しかし、医療現場とは異なり刑務所ではホームワーク課題を工夫する必要性が示唆された。
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