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2011 年度 実績報告書

ADHDの衝動性・注意を指標化した新しい動物モデルの提唱

研究課題

研究課題/領域番号 21530766
研究機関福岡県立大学

研究代表者

麦島 剛  福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (40308143)

キーワードADHD(注意欠陥・多動性障害) / 疾患モデル動物 / オペラント条件づけ / 行動薬理学 / オペラント療法 / 聴覚性誘発電位 / 衝動性 / 注意障害
研究概要

1.ELマウス(ADHDモデル動物候補)とその対照系統(DDYマウス)に対し、オペラント条件づけを行ない、反応レバー2基に対する選択行動において遅延価値割引事態でのSS(smaller-sooner)報酬及びLL(larger-later)報酬の獲得を実験し、結果に関する衝動性(Evenden,1999)を検討した。また、DDYおよびELマウスがVI事態の並立スケジュール下における対応則をどのように示すのかを検討した。これらの結果より、ELマウスはDDYマウスより結果に関する衝動性が高い可能性が示唆され、並立スケジュールの左右VIサイズ差が大きくない場合にはELマウスは対応則の適合度を低下させることが示された。昨年度までの一連の研究を統合して、ELマウスの衝動性、環境刺激への不注意が実証されたと考えられる。
2.SHR(ADHDモデルラット)およびWKY(対照系統)への聴覚刺激に対する誘発電位について、ミスマッチ陰性電位(MMN)を測定する実験を進展させた。ラットの大脳皮質1次聴覚野・頭頂野に脳波用電極を固定する手術を施したのち、無麻酔無拘束のもとで測定フィールドに入れたラットに対して、ファンクションジェネレーターとオーディオアンプを用いて、フィールド直上のスピーカーから周波数の異なる2種の音刺激を呈示した。標準刺激および逸脱刺激に対する各電極における誘発電位を、生体アンプと生体シグナル記録解析システムにより測定した。この実験系のもとでMMNを計測し、これへの非中枢刺激性ADHD治療薬atomoxetineの投与の効果を検討した。これらの結果、WKYでは頭頂野に出現するMMNがSHRでは現れないことが示され、ADHD臨床知見に一致した。このMMN不出現はatomoxetine 2mg/kgおよび10mg/kg投与では有意に改善されなかった。これらより、SHRは脳波学的にもADHDモデルとして確立できる可能性があることと、ADHDの注意障害はその前段階の前注意過程の障害を伴う可能性があることと、SHRの不注意に対するatomoxetine投与効果は、ELマウスの衝動性とは用量等で異なる可能性があることが示唆された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] Effects of atomoxetine and fluoxetine on the epileptic EL mouse, a possible animal model for ADHD2011

    • 著者名/発表者名
      Nakamoto, Y., Mugishima, G., Kimura, H., Masuda, K., Oyama, A., Kubo, H., Nukada, H., Yoshii, M
    • 学会等名
      Society for Neuroscience
    • 発表場所
      Washington D.C.(米国)
    • 年月日
      2011-11-16
  • [学会発表] 報酬遅延を用いたELマウスの衝動的行動の検討.-ADHDモデル動物の選択行動-2011

    • 著者名/発表者名
      麦島剛・木村裕・小山明子・久保浩明・中本百合江・吉井光信
    • 学会等名
      日本行動分析学会
    • 発表場所
      早稲田大学(東京都)
    • 年月日
      2011-09-19
  • [学会発表] 遅延価値割引を用いたELマウスの衝動的行動の検討.-ADHDモデル動物の報酬遅延と報酬量への感受性-2011

    • 著者名/発表者名
      小山明子・木村裕・久保浩明・森久美子・星子友里恵・中本百合江・吉井光信・麦島剛
    • 学会等名
      日本行動分析学会
    • 発表場所
      早稲田大学(東京都)
    • 年月日
      2011-09-19
  • [学会発表] ELマウスの選択行動におけるマッチング法則の検討.-ADHDモデル動物の強化に対する感受性について-2011

    • 著者名/発表者名
      久保浩明・木村裕・小山明子・永末正志・野添美和・中本百合江・吉井光信・麦島剛
    • 学会等名
      日本行動分析学会
    • 発表場所
      早稲田大学(東京都)
    • 年月日
      2011-09-19
  • [学会発表] ラットのミスマッチ陰性電位様反応へのmethylphenidate投与の効果:前注意過程の検討2011

    • 著者名/発表者名
      麦島剛・木村裕・小山明子・久保浩明・石田彩香・榛葉俊一
    • 学会等名
      日本動物心理学会
    • 発表場所
      慶應義塾大学(東京都)
    • 年月日
      2011-09-08

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公開日: 2013-06-26  

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