研究課題
本研究の目的は、感情音声を用いた場合の声質(誰の声か、どのような声か)の認知がどのようにして行われるのか、また感情を伴わない音声の場合とどのように異なるのかについて検討し、<声質>と<感情>との相互作用を考慮した日常場面に応用できる「声質の情報処理モデル」を構築することである。本年度は感情音声を用いて、声質についての認知実験と音声分析を行った。音声分析(音響的な分析)では、平均基本周波数、最高基本周波数、最低基本周波数、基本周波数の標準偏差、エネルギーの平均、最大エネルギー、最小エネルギー、エネルギーの範囲、エネルギーの標準偏差、有声部分の持続時間、無声部分の持続時間を抽出して音声の特徴を分析した。音声の種類が多く分析に時間がかかったので、来年度も継続して分析を行うこととした。一方認知実験では、昨年度行った声質の同定実験と弁別実験を引き続き行った。音声分析が終了した段階で、認知実験の結果と音声分析の結果とを多変量解析、特にMDSによる解析を行うこととしている。今年度の研究結果より、感情音声の種類によって声質の同定と弁別が一定の影響を受けること、声質の認知には感情の要素を考えることが必要であることなどの点が明らかにされた。さらにデータ数を増やして、来年度は声質情報処理モデルの作成を行うこととしている。
すべて 2010
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青山心理学研究
巻: 9 ページ: 1-9
Bulletin of College of Education, Psychology and Human Studies, Aoyama Gakuin University
巻: 1 ページ: 243-267