• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

記憶の概日リズムに関する生理心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21530771
研究機関上智大学

研究代表者

岡田 隆  上智大学, 総合人間科学部, 教授 (00242082)

キーワード長期増強 / メラトニン / 一酸化窒素 / 記憶 / 概日リズム / 物体再認課題
研究概要

本研究課題において前年度までに、松果体ホルモンであるメラトニン存在下で海馬CA1シナプスにおける長期増強の大きさが抑制されることと、その抑制には細胞内の一酸化窒素カスケードへの作用が関係することを電気生理学的手法により明らかにした。これらの結果を受け平成23年度は行動実験に着手し、メラトニン分泌の多い夜間と分泌の少ない日中とでラットの学習成績に差が見られるかどうかを、海馬依存性の空間学習課題の一つである物体再認課題を用いて検討した。物体再認課題における物体には、これまでの先行研究の多くで用いられているような任意に選ばれた物体ではなく、世界で広く流通している玩具ブロックを組み合わせた再現性のある物体を用いた。訓練試行では同一の物体を2つ設置した装置内をラットに探索させ、その後のテスト試行時には訓練試行で呈示した物体のうち片方を新奇物体に変え装置内を探索させた。新奇物体を探索した時間が総探索時間に占める割合を弁別指標として算出し学習成績として評価した。その結果、訓練試行から1時間後に短期記憶テストを行った際には、どの時間帯においても既知物体よりも新奇物体を長く探索していた。しかし、訓練試行から24時間後に行った長期記憶テストでは、明期前半群でのみ既知物体と新奇物体の探索時間に差がなく、すなわち両者を弁別できていなかった。訓練試行時の総探索時間は各群で同程度であったため、長期記憶テスト時に明期前半群でのみ長期記憶が保持されなかった結果が活動量の違いによるものではなく、口内の時間帯に起因すると考えられた。以上の結果から、記憶の符号化に関してはすべての時間帯において可能であるが、明期前半に実験を行った群では長期記憶の保持が困難であったことが示唆された。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The facilitative effects of bilobalide, a unique constituent of Ginkgo biloba, on synaptic transmission and plasticity in hippocampal subfields2011

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, E., Sato, M., Takezawa, R., Suzuki, E., Sato, M., Takezawa, R., Usuki, T. & Okada, T
    • 雑誌名

      Journal of Physiological Sciences

      巻: 61 ページ: 421-427

    • DOI

      DOI:10.1007/s12576-011-0159-6

    • 査読あり
  • [学会発表] アセチルコリン受容体活性化による海馬長期増強促進における膜電位依存性Ca^<2+>チャネルの関与2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木江津子・岡田隆
    • 学会等名
      日本基礎心理学会第30回大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011-12-03
  • [学会発表] ラットの位置再認課題成績にみられる日内変動2011

    • 著者名/発表者名
      高橋良幸・澤幸祐・岡田隆
    • 学会等名
      日本基礎心理学会第30回大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011-12-03
  • [学会発表] 海馬に作用するイチョウ葉特有成分テルペントリラクトンに関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤麻希子・武澤遼太・鈴木江津子・岡田隆・臼杵豊展
    • 学会等名
      第55回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会
    • 発表場所
      筑波
    • 年月日
      2011-11-19
  • [学会発表] 海馬CA1長期増強の上昇層刺激誘導性促進における刺激強度依存性2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木江津子・岡田隆
    • 学会等名
      第34回日本神経科学大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011-09-15
  • [学会発表] ラットの物体再認課題成績にみられる日内変動2011

    • 著者名/発表者名
      高橋良幸・澤幸祐・岡田隆
    • 学会等名
      日本動物心理学会第71回大会(Animal2011)
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-09-09
  • [学会発表] アセチルコリン受容体活性化によるラット海馬CA1長期増強促進におけるKv7/Mカリウムイオンチャネルの関与2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木江津子・岡田隆
    • 学会等名
      日本動物心理学会第71回大会(Animal2011)
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-09-08
  • [学会発表] Modulation of hippocampal long-term potentiation by activation of the muscarinic acetylcholine receptors involves the inhibition of Kv7/M potassium channels2011

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, E., Okada, T.
    • 学会等名
      The 8th IBRO World Congress of Neuroscience
    • 発表場所
      Florence (Italy)
    • 年月日
      2011-07-16
  • [図書] 認知神経科学2012

    • 著者名/発表者名
      道又爾・岡田隆
    • 総ページ数
      1-44, 116-153, 223-276
    • 出版者
      放送大学教育振興会

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi