研究概要 |
昨年度、内発的動機とその金銭報酬による低減が、前頭前野外側部と線条体前部との協同によって起こることを見出したことを受けて、内発的動機の源となる自己決定感の神経基盤の解明へと、更に研究を進めるべく、自己決定感を制御した上で、内発的動機づけの変容を調べるための実験課題を考案し、行動実験を行った、実験課題としては、昨年度、内発的動機の神経基盤を調べるのに適していることが明らかになったストップウォッチ課題に、自己決定感の影響を調べられるように変更を加えて用いる。具体的には、モニター上に2つのストップウォッチが現れ、どちらかを選択する(自己選択条件)。すると選んだストップウォッチだけが中央に現れ、スタートする,一定の時間(例えば5秒ジャスト)で押しボタンを押してストップウォッチを止めて貰う。0.05秒以内の誤差でストップウォッチを止めることができたら成功とし、ポイントを加算する。表示された2つのストップウォッチのうち一方が、勝手に選ばれてしまうコントロール条件(強制選択条件)も導入した。この条件では、強制的に選ばれたストップウォッチが中央に現れ、スタートする。一定の時間(例えば5秒ジャスト)で押しボタンを押してストップウォッチを止めて貰った。この条件でも0.05秒以内の誤差でストップウォッチを止めることができたら成功とし、ポイントを加算した。二つのうちのどちらの条件かは試行毎に手がかりを呈示し、その順序は疑似ランダムとした。事後的に、自己選択条件と強制選択条件のどちらが好ましかったかを尋ねたところ、9割以上の被験者が自己選択条件をより好ましいと答えた。このことは、自己選択条件で強制選択条件よりも、自己決定感が実際に高まり、内発的動機もそれに伴って高まったことが示唆された。
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