研究概要 |
代表者らは、以前、サッカードの終了時点で出現する特殊な脳電位である眼球停留関連電位(Eye fixation related potential, EFRP)を発見した。現在、見ている場面の画像データ、眼球運動計測データ、脳波のデータを同時記録し、眼球が停留する対象別に脳電位を解析するシステムの開発を行っている。 現有の眼球運動計測装置(Eye-Link)により、画像中の眼球が停留する地点を確認し、その眼球停留点別に脳電位を分類して解析を行うシステムを開発することを目的として研究を開始した。EOGのデータはEye-Linkのデータとは異なるので、先ずEye-Linkで計測したデータにより眼球停留時点を検出する手法を新たに開発した。 背景画像、眼球停留点、眼球運動波形、脳電位それらを同一画面に表示するシステムのアルゴリズムは、企業と共同で開発した。眼球停留対象別の、眼球停留関連電位の波形等の比較分析を実施中である。単にシーンを探索しているときには早い脳電位成分だけが現れるが、ターゲットを見つけた時には事象関連電位のP300様電位が現れることを見いだした。 思考中には、現在見ている対象から眼が逸れる。被験者に計算や連想などの思考課題を与え、眼が逸れているときの眼球運動と多チャンネルの脳電位を計測し、目が向けられても見ていない状態の脳機能の解析を行った。思考中には眼が向けられている対象に対する脳電位が出現しないか、その振幅が低下することから、脳での情報処理が低下していることを見いだした。
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