研究概要 |
研究代表者は、サッカードの終了時点で出現する眼球停留関連電位(Eye fixation related potential, EFRP)を発見した。現在、見ている場面の画像データ、眼球運動計測データ、脳波のデータを同時記録し、眼球が停留する対象別に脳電位を解析するシステムの開発を行っている。本年度は、昨年度試作したシステムを改良し、日常生活シーンの中で特定のオブジェクトを検出したときの電位の特性を調べることを目的として実施した。 日常生活での、オブジェクトに対する眼球運動関連電位の研究のためには、被験者がシーンの中の、どの対象に視線を向けているかを同定する必要がある。まず、昨年度試作したシステムを改良した。昨年度、頭部を固定した条件では、EyeLink1000が有効であったが、日常的なシーンを見ているときには、頭部が運動する。そのため、頭部搭載型のEyeLink-IIと、EOGの併用により眼球運動を計測するシステムに、シーン用のカメラを接続して、シーンを見ている最中の脳電位のデータを収集するシステムを試作した。実際の実験室の風景や、プロジェクターによる実際場面での、特定のオブジェクト刺激と単純に探索している刺激に対する、眼球運動と脳電位を計測し、眼球停留関連電位の解析をおこなうことに成功した。並行して、本研究の背景となるサッカードの基本特性、サッカードに伴う知覚、眼球停留関連電位の基本特性や周辺視の知覚に関する研究をおこなった。その結果、周辺視では中心視と、対象の方向が異なって見えることを見いだした。
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