1.平成23年10月に中国東北師範大学等による国際カンファレンスにおいて招待講演を行い、また、諭文集に執筆した。その際、カナダと豪州を含むカリキュラム研究者と交流し、また研究指定校等の教員による実践報告を受けた。 このため経費として、研究資料とテキスト分析ソフトの購入、論文の翻訳校閲、調査同行者の旅費、発表用資料の翻訳、及び通訳と紀録等のための物品費を要した。最終年度の実績として主として下記の結果が得られた。 2.PISAに示される国際学力調査等によるグローバル化がカリキュラム開発モデルの再構成にどう影響を及ぼしているか、日韓中の動向を整理すれば、2008年改訂学習指導要領の「カリキュラム・マネジメント」(日本)、2009年改訂教育課程の「学校単位貴任経営:SBM(緯国)、及び2001年墓礎教育課程改革綱要の「校本課程」(中国)の方針が、地方と各学校でそれぞれ自律的にカリキュラムを開発するためのモデルとして再構成されている。 3.日韓中のカリキュラム開発モデルは、OECD-CERIが70年代に提唱した「学校に基礎をおくカリキュラム開発」(SBCD;School-based Curriculum Development)を参考にしながら自国の教育改革の文脈に即して再構成している。中国の場合、これを「本土化」と称し、また、韓国では「カリキュラム自律化」政策と呼び、重点校や指定校方式によって普及を図っている。その際、地方教育委員会のみならず大学関係者も連携して、カリキュラム開発に必要な諸資源と教員研修プログラムやコンサルティング等を積極的に提供しているケースが日本と比較して注目される。 4.SBCDモデルへの評価は日韓中の研究者の間で各国の教育事情を反映して微妙に異なるが、何れにしても、当該国のカリキュラム開発モデルを再構成する上では、客観的な資料による根拠付けが求められている。このため、学力調査等のカリキュラム評価を重視する実証型の開発モデルが構成され、毎年次の調査報告等をもとに、カリキュラム改革の方向を探っている。今後、地方教育委員会と大学等が各学校によるカリキュラム開発を促す上で、学校経営と教師教育を含むモデルをどう再構成していくか、その実態と方向を調査する必要がある。
|