平成22年度における研究では、特別な教育ニーズを持つエスニック・マイノリティ児童・生徒の教育について、二つの異なる側面から調査を行った。一つは特別支援教育の教育実践であり、もう一つは付加言語としての英語教育から児童・生徒が特別な教育ニーズを持っているのかを測定するためのアセスメントの方法及び教員養成についてである。 前者の特別支援教育の実践からは、いかにエスニック・マイノリティ生徒を包摂的に教育するのかについては、自閉症の生徒とのコミュニケーションのツールとして使用されているマカトンがある種の共通言語となっていることや学校支援スタッフの多くがエスニック・マイノリティであることなど、様々な意味において学校全体が人種・文化的に包摂的であることがわかった。 さらに、後者の付加言語としての英語を使用する児童・生徒が特別な教育ニーズを持っているか否かを判断するためのアセスメントについては、アセスメント作成者から和訳し、日本で紹介する許可を得ており、現在翻訳中である。このアセスメントは第二言語として日本語を学んでいる外国人児童・生徒にも応用可能であると考えるため、大変意義がある成果が得られたのではないかと考える。 教員養成についても、マンチェスター・メトロポリタン大学のフライン氏が作成した研修ハンドブックを翻訳する許可を得ている。児童・生徒の多様性を意識した教員養成カリキュラムの提案を行うためには、非常に示唆に富んだ資料であるため、翻訳後、分析を進めていく。
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