本研究においては、近代日本における幼小連携カリキュラムの到達点とその限界を明らかにすることを目的とする。そのために、欧米に興った幼小連携カリキュラムの理論的背景とその実践的特質を把握することが必要であり、今年度は以下の事項について海外・国内調査を実施した。 1.アメリカにおける二大教育大学(シカゴ大学、コロンビア大学)以外の幼小連携カリキュラムに関する調査 (1)ニューヨーク都市田園学校(The City and Country School)、(2)ニューヨーク州立大学の練習学校 (3)ワシントン市のトムソン・スクール、(Thomson School)(4)イリノイ州立大学の練習学校(Training School) (5)サンフランシスコ州立大学の練習学校(Training School) 上記の事例について、日本国内の先行研究や資料を博捜すると同時に、アメリカメリーランド州立大学を訪問し、国際幼稚園連盟(International Kindergarten Union)の所蔵文書を閲覧調査して、幼小連携カリキュラムの開発過程に関する史料について撮影による収集を行った。 2.師範学校附属小学校と幼稚園におけるカリキュラム開発の態勢と試行に関する調査 (1)東京女子高等師範学校、奈良女子高等師範学校、明石女子師範学校に特徴的であった合科学習、(2)プロジェクト・メソッド(project method)、(3)生活単元(life unit)の開発過程を明らかにするための史料調査を行った。 3つの女子師範学校で幼小連携カリキュラムの開発に利用された海外教育情報、背景にある教育理念を含めて研究の体制やカリキュラム開発の過程を分析した。 3.昨年度の研究成果の一部を日本カリキュラム学会第21回大会(佐賀大学)において報告したほか、今年度の研究成果の一部を論文として発表した。
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