従来のデューイ研究における観点、デューイは中期の実験主義期により、初期の観念論期から訣別・脱却したという捉え方に対し、本研究では、それを全面否定するものではないが、デューイ思想における「ヘーゲル的な残滓」は、中期以降も認められ、さらに後期の自然主義期にまで及んでいることを明らかにした。具体的には、第一に、デューイ教育哲学の形成期におけるヘーゲルからの影響を、「新心理学」の提唱や倫理学的な考察において確認し、第二に、後期(晩年)に結実した哲学的方法としての探究理論においても、ヘーゲル的な弁証法、概念形成(存在・非存在・生成)が、論理学(探究)の操作(推論、事実・観察と観念の相互作用)として実現されていることを明らかにした。
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