研究実施計画に基づき、昨年度に引き続いて以下の作業を実施した。 (1)河合塾の本部、各地域本部、河合塾記念館および提携予備校の一部において、一次資料群の調査を行った。 (2)河合塾の本部および河合文化教育研究所において、部内外へ発信した諸情報についての資料調査を行った。' (3)国立国会図書館・都道府県立図書館・市立図書館などの公共図書館、各大学の図書館・文書館、各新聞社のインターネット記事検索、雑誌記事索引などを使い、新聞・雑誌が予備校に関して報道した記事を収集した。また、全国型予備校が形成される以前の時期において、高等学校や受験生に受験情報を提供していた全国の有力大学の学生団体(「東大学力コンクール」を実施した東京大学学生文化指導会、「京大学力コンクール」を実施した京都大学学生親学会など、模擬試験を中心とし、他に出版事業や講習会・通信添削など関連する事業を行っていたサークルで、一時は全国の有力大学に存在したが、1970年に一斉に解散して現存せず)の機関誌など、関連資料も入手した。 これら一連の作業の結果、河合塾と高等学校との関係史について、おおむね1970年頃から2000年頃までを詳細に把握することができた。これによって、前年度までに把握した内容とあわせ、論文の執筆にとりかかることができるようになった。 (4)教育史学会第55回大会(於京都大学)において、上述した学生団体の実態に関する研究発表を行い、今後の研究の遂行に有益な示唆を得た。タイトルは「「学力コンクール」の時代(1946-70)-東京大学学生文化指導会をはじめとする学生団体が大学受験指導の一翼を担った頃-」であった。
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