<平成23年度に実施した研究の具体的内容> 口頭発表としては、(1)ドイツ教育学会教育史部門が「ネットワーク」をテーマとして9月にバーゼル(スイス)で開催した年次大会でスイスと日本の新教育の立役者が心身論をめぐってネットワーク形成にあたって抱いた理念と現実の齪酷を分析して発表し、(2)11月にはポーランドのワルシャワ大学(UKSW)で日本の新教育にみられる心身論を宗教性の視点から考察する講演を行った。論文発表としては、(1)日本の新教育とドイツの新教育にみられる心身論の親和性を指摘する論文(Padagogische Rundschau誌)、(2)日本における新教育の心身論の方針を福祉的視点で実践した事例を紹介する論文(Paedagogica Historica誌)、(3)日本の新教育における心身論の受容過程をオリエンタリズムの視点から解読する論文International Journal for the Historiography for Education)、(4)ドイツの新教育における心身論の形成と生の哲学および心身医学との関係を再考する論文(三重大学教育学部研究紀要)が刊行された。 <平成23年度に実施した研究の意義・重要性> 新教育運動における「感性教育」と「身体教育」の関わりについて、現在ホットなテーマである「ネットワーク」と絡めて考察した内容をスイスで発表するなかで、「他者」と「自己」をキーワードとする再考の可能性が浮上した。また、新教育運動における「感性教育」と「身体教育」の関わりを宗教性という文脈で読み解く内容をポーランドで発表するなかで、いわゆる東欧ブロックの研究者からみた文化性の位置づけという視座から今後の研究に資する刺激を得られた。
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