普通学は当時、英国ではジェネラルサイエンスと称されていた。しかし、西周はその言葉を直接移植するのではなく、独自のコモンサイエンスを創り出した。18-19世紀の英国ではコモンズ、コモンセンス、コモンルーム等、「市民」に関するキーワードが数多く生み出されており、西周の「普通学」ならびに市民観にインスピレーションを与えたと考えられる。西は儒教的思想を基礎として西洋の学問体系を再構成し、新たな概念化を図った。新興勢力を市民に置き換え、日本の近代市民社会を担う人材育成に必要な一般教養を「普通学」と名付けたのである。
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