2010年度は、自己評価とアセスメントに関する文献収集、ニュージーランド現地調査(2010年8月16日~29日)、保育者へのインタビュー・質問紙調査、及び研究者への聞き取り調査を実施した。 1)自己評価に関しては以下の点が明らかになった。 (1)アセスメントが子どもの学び・育ちを捉えるものであるのに対して、自己評価は保育者の実践を対象化して捉え直し、改善につなげるものである。(2)幼稚園・保育センターにおける自己評価の実践事例の改善につなげている過程の具体例を把握した。 2)アセスメント「学びの物語」の現段階としては、以下の点が明らかになった。 (1)アセスメント「学びの物語」の実践は幼稚園や保育センター等の保育施設に普及し、その意義を評価する保育者は多かった。(2)保育現場におけるアセスメント「学びの物語」の普及・発展における教育省の実践事例集全20巻と専門性開発の果たした役割が非常に大きいことが明らかになった。(3)保育現場の忙しさや時間確保の問題、保育者のアセスメント「学びの物語」の捉え方の浅さ・不十分さが研究者等の専門家から指摘された。 3)単著『乳幼児の「かしこさ」とは何か~豊かな学びを育む保育・子育て』(大月書店)の第4章において、ニュージーランドにおけるアセスメントの取り組みを学び論の視点から紹介した。
|