2011年度は、ニュージーランドにおける自己評価(セルフ・レビュー)とアセスメントに関する文献収集、ニュージーランド現地調査(2011年8月15日~26日)、保育者へのインタビュー・質問紙調査、及び研究者への聞き取り調査を実施し、研究成果を雑誌論文、研究報告書にまとめた。 1.ニュージーランドの教育省「乳幼児教育のためのセルフ・レビュー・ガイドライン(Nga Arohaehae Whai Hua : Self-Review Guidelines for Early Childhood Education)」を中心に分析を行い、セルフ・レビューの概念、方法や実践の特徴を検討し、研究論文にまとめた。そのなかで、(1)セルフ・レビューが、施設独自のテーマに従って情報を収集し、評価・改善するために実践を再検討することと捉えられていること、(2)セルフ・レビューが施設全体の集団的・協同的な実践と捉えられていることを明らかにした。また、(3)時間が取れないことや職員の入れ替わりがセルフ・レビュー実践の普及、充実を妨げているという指摘があることを明らかにした。 2.自己評価・セルフ・レビューとアセスメントについての保育者・施設長に対する調査結果を報告書にまとめた。(1)各園において、施設独自の問題関心を出発点として多様なテーマでセルフ・レビューが取り組まれていること、多くの保育者・施設長がセルフ・レビューの意義を評価していることを明らかにした。(2)アセスメントについては、アセスメントが保育者の保育への情熱・意欲を引き出し、子どもの見方や保育実践、職員同士の関係を変えるものとなっていることを明らかにした。(3)セルフ・レビュー、アセスメントともに、専門性開発や保育条件の充実が不可欠であることも明らかになった。
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