研究概要 |
研究目的:本研究の目的は、異なる学校・教員文化を持つ海外の教育実践において、日本の授業研究モデルが移転され、実験授業が実施される中で、教員の授業メンタルモデルの克服過程とそのメカニズムを解明することである。そのために、授業研究が教員文化や学校文化に与える影響を明らかにし、教員の授業研究への参加と決定はどのような能力を形成するかを解明する。また、授業研究の進展に対する教育問題の共有の有効性を検証し、同僚など他者の存在が、教員の経験の共有を通して、教員の質的変化(学校観、子ども観、授業観、教員観、教材観、研究観)に及ぼす影響を解明する。このような研究課題の検証から、日本と海外の教員文化を比較し、海外の教員(イラン)の授業メンタルモデルの形成のメカニズムを明らかにする。 研究成果: (1) 教員の授業メンタルモデル克服過程を解明する基礎資料として、日本の私立と公立中学校の数学授業のデータ整理し、イランと日本の同じ単元の授業記録を収集した。(2) 収集した資料を基に助言者や同僚の認識に関わる発言を事後検討会の発言から抽出し、カテゴリーに分類した。(3) 分類したデータを基に日本のある公立中学校で国際比較授業分析・検討会を行い、日本とイランの教員文化を比較し、イランの教員の授業メンタルモデルの形成と特徴を明らかにした。(4) 「授業観の改善に向けての授業研究会」を通して、同僚や外部の指導助言者など他者の存在と意見がどのように教員の認識や授業メンタルモデルに変化を与えるかを検討した。(5) 国際学会(WALS, 2010)でシンポジウムにおいて研究成果の一部(Can Evidence-Based Lesson Analysis Work in other Countries?)を公表した。また、国内の学会でも研究成果を発表、雑誌でも論文を発行した。
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