日本全国において、学校は地域の象徴的な存在であり、経済的利害を超えて集まれる所である。一方文部科学省の予算も減る中で、過疎地域は典型的に学校統廃合が進められている。しかし、学校統廃合がなされた地域は、地域住民のまとまりがなくなり、生産活動や福祉活動においても、コミュニティの機能がなくなっている。 一方北海道標茶町では、学校を中心としたコミュニティを意識的に創りあげ、その補完として、地区公民館を充実させ、住民の自治組織と決定権を高めてきた。その結果、行政予算が少なくなった現段階においても、自助・共助によって、住民の地域共同生活圏とアメニティを維持していることが明らかとなった。すなわち、学校の存在が単に子どもの教育活動だけでなく、地域の社会教育的機能と連動することによって、生活・文化・教育をトータルにとらえるまちづくりの機能を高めることにつながっている。 さらに、標茶町では、地域の自治が高まっていくと共に、それに併行して、地域が学校にも協力して、学校教育活動の中に積極的に地域活動や地域調べ学習を取り入れて、学校全体が地域を教えているということである。 このような学校を一つのシンボルにして、地域自治を高めるまちづくりを、我々は「コミュニティネットワーク型まちづくり」と称した。このようなまちづくりは、学校が地域のシンボルであると共に、地域が学校に協力して地域づくりの重要性を子ども達に再生産していることの蓄積によるものである。 このようなまちづくりは、過疎の町であるからこそできることであるが、本来は市街地部を含めてこのような機能を、日本全国もっていなければならない。しかし、多くの学校では地域を教える学校教育活動は停滞する傾向にある。本研究では、コミュニティネットワーク型のまちづくりの条件としての学校の役割と、それを取り巻く地域自治の振興の重要性を明らかにした。
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