本研究の目的は、限界過疎地において、企業誘致や大規模公共事業が期待できない中で、コミュニティネットワーク型まちづくりの推進方策と発展条件を、生涯学習教育振興策の観点からとらえることであった。この典型的なまちづくりの施策を進めている標茶町の行政の街づくりおよびコミュニティネットワークのあり方を明らかにした。 酪農農村部に位置する標茶町では、まちづくりをハードの側面に依拠することはできない。そのため、地域づくりを様々な教育活動・福祉活動・地域互助等を中心としたコミュニティネットワークを高めている。標茶町の取り組みの中から明らかとなった主要なことは、以下のことである。 1.役場行政の中において、縦割り行政の弊害を自覚し、お互いに部署を越えて声かけ合いながら、関係会議への出席を促している。 2.地域コミュニティごとに行政から資金を提供する。予算の使い方としては、地区自ら優先順位を決めて申請するようにしている。 3.行政による地域支援と共に、学校の行事は、地域の行事を包摂しており、地域の活性化を図るためにも、学校の行事が階層・立場を越えて集まるコミュニティ作りの役割が大きい。標茶町では、各学校のPTAに、全住民が入っており、子どもがいなくても、学校行事に参加する傾向が高く、そこで住民どうしの交流も図られている。 4.行政による地域支援と共に、標茶町では、公民館が各学校区に配置されており、各公民館の行事が地域づくりに果たす役割は大きい。 5.標茶町では、葬式も各地域で自主的に行われており、葬儀社に依頼することがない。 このような活動が、過疎地において、学校を中心としたコミュニティづくりとなっていることが明らかとなった。
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