研究概要 |
・海外調査については,韓国(9月)および中国(9月,12月)の調査を行った。 ・韓国では教育技術部,韓国教育開発院および2大学(高麗大学,全北大学)を訪問し,韓国の大学院入試の現状について情報を収集した。韓国の大学院は各大学・専攻分野ごとの入試が基本。大学院の急速な拡大ともに優秀な学生の海外留学によって定員割れを起こす大学および専攻分野が少なくなく,大学院の質確保のための入試改革に対しては,一部職業専門学位(医学等)の共通試験導入の他,厳格化の方向には向いていない。 ・中国では,教育部および教育部入試センターおよび4大学(北京大学,北京師範大学,復旦大学,上海師範大学)を訪問調査した。中国では,全国統一入試(一次試験)の合格者を大学ごとの個別試験で選抜する2段階選抜を行っている。これに加えて近年,一次試験を免除する推薦入試や別の統一試験を行う在職者特別選抜などが行われてきている。これらはいずれも一次試験(または推薦過程)で基本的な能力・幅広い知識を検査し,2次試験の個別試験で専門能力や総合的な資質をみるという試験となっており,本研究で検討すべき入試の在り方の一つの例を示しているといえよう。ただし,一次試験の比重が大きく,その試験対策のため専門能力が十分育たないという問題点も指摘され,推薦入学や2次試験の比重拡大などの対策も取られているが,こうした点が今後の課題となっている。 ・国内調査については,文部科学省大学振興課の大学院政策担当者に事情聴取した。政策的には大学院教育の質向上のために,大学院入試に国が介入するほどの問題はない,との認識。ただし,博士課程ではある程度優秀な層に絞った教育指導が必要との考えからなんらかの対策を検討しているとのことであった。
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