本研究は、多くの留学生と比較的多くの雇用機会を持ちながらも未だ留学生の就職が低調な栃木県を対象として、留学生と企業に対して調査を行い、双方の実態や意識・ニーズを把握し分析するものである。特に、留学生のキャリアデザインの視点を中心に留学生の日本での就職の阻害要因と支援のあり方を考える。初年度である21年度は、県内の大学等に学ぶ767名の留学生全員を対象に質問紙による調査を実施、371名から回答を得た。その結果、キャリアデザインの有無とその後の留学生活を通じての変化、日本語能力などのコミュニケーション力、学業以外の活動を通じての日本という異文化の社会でのネットワーク構築力などが留学生生活満足度、進路選択・就職活動・就職に関わりがあること、留学生は高卒後すぐに来日するなど日本人大学生と同じ年代のものが6割を占めており、半数以上が日本での就職希望を持つ中で、これから就職活動を行うという学生の大半が不安感をもち日本での就職活動の基本や企業選択の基準等について知りたいと答えるなど、留学生の就職に際しても日本人学生と同様のキャリア教育等の対応が必要であることが示唆され、留学生の就職支援のあり方に意義がある結果であった。さらに、留学生の将来展望やキャリアデザインの背景にある価値観や就職選択時に重要視することについても分析を進めており、多様な留学生像が見えそれらへの対応策の有り方も示唆されるところであり、今後の調査の結果とあわせてさらに分析を深めていくこととしている。
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