平成21年度、沖縄への合計3回の調査、北海道への合計2回、研究年度3年間を見通した予備的調査を行った。(共同調査・個別調査含む)。また埼玉と福岡にて本研究分担者(安藤聡彦氏)・協力者(吉田理映子氏)とともに、今後の研究枠組みについての検討会議を約2か月に1度のペースで行ってきた。 これにより、「共同店」という地域拠点を核とする沖縄・奥集落の共同性研究について合意してきた研究視座として 1) 「共同性」に、単なる歴史的にでなく、現代的なダイナミズムをもって迫るためには、「共同」をめぐる内・外両面から迫る必要があること。 2) 共同性をかたちつくる「内」からのアプローチとして、その集落の形成における、意志決定過程に焦点をあてる必要があること。 それを歴史的・現代的に明らかにするにあたっては、参加者や周辺に位置する者の文章、言葉はもとより、空間における身体の位置や関係性にも目をくばる必要があること。 3) 共同性をかたちつくる「外」からのアプローチとして、共同体に周辺から中心へと参加の過程を歩む層として子どもに焦点をあてる。子どもたちは、生活・労働へのかかわりを通して、いかに生活文化の創り手として形成されていくのか、またそうした生活・労働とのかかわりにあたって、大人と子どもの関係はいかにあったのかを歴史的・現代的にアプローチする必要があること。が明らかになった。 また、北海道調査については、1916年に設立された日本最初のアイヌ資料館としての「川村力子トアイヌ記念館」を中心に、その設立過程、展示とその変容、利用実態等について予備的調査を行ったが、予想以上に史実的にあとづけていくことの困難さがあることも確認された。
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