本科研最終年度にあたる平成23年度、2年間のフィールド調査の継続および、この間の研究討議のまとめの作業を行った。 沖縄班は、研究代表者が1回の渡沖調査を行い、協力者も私費で追加調査を行うとともに、まとめにむけての研究討議を埼玉および福岡で数回にわたり行った。また、こうした作業のひとつの集大成の場として、25名ほどの参加を得て、「共同を語る会」を福岡で開催した。この「共同を語る会」では、この間探求してきた沖縄県国頭村奥共同店にスポットをあてるために、共同店研究第一人者の宮城能彦氏をおよびし、研究代表者および協力者とあわせて3名でそれぞれ「いまなぜ共同・共同店をみつめ、そこに何を考えるのか」にかかわる発題を行った。それをうけてよびかけに賛同して集まっていただいた九州・福岡の社会教育実践および場づくり実践関係者等とともに、1部・2部にわけて、ワークショップ的な要素も交えつつ、私たちの生きる現代および都市・地方をこえた「共同」について考えあう場をもった。地域的にも活動としても多彩な人々の集いとなったが、「共同のなかで育つ・育てること」「共同を考える媒体としてのことば」など、「共同」というキーワードから様々なテーマに発展させたやりとりの場をもつことができた。以前作成した「共同店パンフレット」の活用とも関連する、メディアを介した「共同を語る場」のありかたについての探求と並行して、既存の共同のしくみを生活史としてどうみつめるか、については、今後への聞き取りや資料探索への課題も残しつつ、「子ども」「女性」にスポットをあてるかたちで現段階でのまとめを行っている。後者に関しては研究代表者が大学院紀要論文として発表した。 またこの間旭川市「川村カネトアイヌ記念館」の成立発展史をおってきたアイヌ班については、まとめを急ぐことなくデータベースの蓄積に力点を置き、今後への研究につなぐ作業を行った。
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