研究概要 |
第一に外国研究として、アメリカの特別支援教育におけるパートナーシップ原理の実態・課題を明らかにすることを目的として、特に、個別の移行計画に焦点を当てて文献研究による分析を行った。その結果、わが国が参考すべき点として、(1)教育以外の関連領域との繋がりを重視すべきこと、(2)本人主体の計画を作成すること、(3)生活全般にわたる移行支援という視点を持つこと、4)具体的な卒業後の目標(成人像)に基づく学校教育での実践を行うこと、(5)社会参加と自立を視野に入れた早期からのカリキュラムを編成すること、6)地域に根ざした移行支援という視点を持つこと、(7)生徒の卒業後の生活に対する学校の責任を明確化すること、(8)通常教育を踏まえた移行サービスを行うこと、が指摘された。 日本については、特別支援学校における個別の教育支援計画の作成・活用状況についての調査を実施し、課題を明らかにした。その結果、改善の必要な部分として「関係機関との連携」が最も高く,次いで「使用方法」,「書式や様式」,「個別の指導計画,個別の移行支援計画との結びつき」,「個別の課題や個別の目標の設定」が挙げられた。パートナーシップ原理に基づき、関係機関と一貫した連携が重要となっているが,実際には,関係機関との結びつきがなく、関係機関との連携が重要な課題となっていることが窺われた。
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