研究概要 |
外国研究としては、イギリスを中心にして、「1981年教育法」以降の法令でパートナーシップ原理に関する規定がどのように運用されてきたのかを、政府の統計資料、新聞や雑誌の記事、関係団体の報告書等を手がかりに分析した。また、1980年代以降に生じた「判定書」をめぐる「特別な教育的ニーズ・障害裁定委員会」の裁定、オンブズマン提訴事例及び裁判所における判例の分析を行い、パートナーシップ原理に関する規定がどのように適用されてきたのかを考察した。 日本研究では、I.保育所と巡回相談員との間のパートナーシップ、II.中学校特別支援学級と特別支援学校との間のパートナーシップ、に焦点を当てて研究を行った。Iについては、巡回相談者とのよりよいパートナーシップの構築により、子どもの障害の診断の有無にかかわらず,保育者の日々の保育活動での悩みや不安等を軽減でき,保育者としての役割や支援体制への理解につながることが示唆された。IIについては、中学校の特別支援学級が特別支援学校のセンター的機能を活用するメリットとして、専門的な知識が手に入る,連携のきっかけになる、といった効果が察知された。また、センター的機能に対するニーズについては、センター的機能の活用状況の有無に関わらず「進路や就労についての相談・助言」,「生徒への指導・支援についての相談・助言」などが挙げられていた。このことより、特別支援学校の専門的な知識の中でも,特別支援学級は特に進学情報や障害に応じた指導・支援などに期待しており、この点を重視したパートナーシップ原理の構築の必要性が示唆された。
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