平成23年度は、インドネシア及びパキスタンにおけるパートナーシップ原理の実態・課題を明らかにした。文献研究及び現地の視察により、(1)CBR(Community Based Rehabilitation)の実情と課題、(2)障害児教育に関する実情及び現状認識、(3)障害児教育とCBRとの関連及びパートナーシップ原理を推進する上での課題、等を明らかにした。その結果、途上国では、障害児教育に対する制度自体が確立していない状況にある一方で、CBRという考えに基づき、地域に根ざした障害児・者への対応が展開されていることが明らかにされた。途上国では地域の諸資源を総動員して支援が行われ、多様な主体が相互作用を持ちながらよりよいシステムを指向しており、途上国の実践からも学ぶべき点も多い点が指摘された。日本に関しては、パートナーシップ原理を確立する上で重要な役割を果たす個別の教育支援計画の作成と活用について特別支援学校を中心に検討した。その結果、個別の教育支援計画は学内では使用されているものの、学外での使用が進んでいないことが明らかとなり、個別の教育支援計画を核にしたパートナーシップ原理の確立に向けた取組の必要性が指摘された。また、社会教育関係者、医療関係者、就労支援関係者、福祉関係者から関係機関とどのようにパートナーシップの確立を図っているのかについて聞き取り調査を行った。その結果、1対1の関係でのパートナーシップの向けての取組はみられるものの、複数機関との繋がりが不十分であり、今後、輻輳的な繋がりを形成していくのかが課題として提示された。
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