ドイツ・アメリカにおけるセルフ・スーパービジョンの文献研究を行い、平成18-20年度科学研究補助金「授業改善を目的とした専門的な教育スーパーバイザー養成のためのプログラム開発」(基盤研究C)の研究成果が、セルフ・スーパービジョン開発に有効な基礎となることを確認した。 大阪府下の中学校教員を対象に「教員研修のあり方」についてアンケートを実施した。アンケート結果から、(1)教師の授業改善へのニーズは高い、(2)忙しくて研修に参加する時間の確保が難しい、(3)教師の個人的ニーズに適切な研修はそれほど多くはない、(4)教科担任制のため授業に関する校内研修が難しい、ことがわかった。この結果は、平成19年度に実施した小学校教員対象のアンケニト結果と共通する部分が多いことが判明し、小・中学校教員を対象としたセルフ・スーパービジョンへのニーズは高いと判断できた。 セルフ・スーパービジョンの対象となる教員として、(1)自分の教育実践に満足しておらす、授業改善を望んでいる教師と、(2)自分の教育実践の現状に満足しているが、しかしだからこそよりキャリアアップを目指している教師、の両方を視野に入れている。セルフ・スーパービジョンは教育スーパービジョンがスーパーバイザーと一緒にワークをするのに対して、教師自らがスーパーバザーとスーパーバイジーの両方を一人ですることに特徴がある。したがって、教師の内的対話能力、反省的能力を育て、自律的に授業を改善する精神的ストラテジーのレパートリーを広げることが主なワーク内容となる。そしてこの過程を支援し、教師の思考と行動の新しい選択可能性を拓き、自己決定・自己責任能力を高めることが、セルフ・スーパービジョンの目標である。
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