セルフ・スーパービジョンに関する理論研究を継続した。その成果として、セルフ・スーパービジョンの概観を描き、セルフ・スーパービジョン段階として、(1)セルフ・スーパービジョンを実施する準備段階、(2)設定したテーマと関連したワークを実施する段階、(3)段階(1)(2)の成果を評価し、セルフ・スーパービジョンを継続するかどうかを決断する段階、を相対的に区別した。そして段階(1)(2)を実施する助けとなるワークシートについて検討した。文献によれば、この段階のために25種類のワークシートが開発されている。そしてこれらのワークシートを使ったワークレベルを、教育スーパービジョンのワークレベルと比較すると次のことが明らかになった。すなわち、教育スーパービジョンでのワークレベルが、授業方法のレベル、教師の教育目標と意図のレベル、教師の生育歴が関与するレベル、生活場所の組織的条件のレベル、であったのに対し、セルフ・スーパービジョンでは、教師の確信にかかわるレベル、能力にかかわるレベル、環境にかかわるレベル、が考えられており、セルフ・スーパービジョンでは、何よりも教師の内的側面に重点がおかれることが、明らかになった。そこから、セルフ・スーパービジョンを実施するのに必要なスキルは何よりも内的対話を実行するためのスキル、反省的に考えるためのスキルであることが明らかになった。そして、この研究成果の一部を、日本教師教育学会第20回研究大会で発表した(発表要旨録184-185頁)。試行した教師の見解によれば、ワークシートによる援助が有効であるということだったので、ワークシートのさらなる改善が来年度の課題となる。
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