本年度は、計画書で設定した計画目標を実施するために必要な文献の購読、および意識調査の設問設定の検討をおこなった。具体的には次の2点があげられる。 第1に、目標の一つである「地域学校の資本形成の歴史検証」については、三上と湯田を担い手として、対象地に設定した福岡県・長野県・愛知県の議会史や統計書を収集した。福岡県については、産炭地での学校運営に関する資料を収集した。愛知県と長野県については県内の中等教育機関の学校史の史料収蔵状況を確認した。現在、これらの史料から行政団体や学校法人による学校運営に関する事項を整理した中間資料を作成中である。 第2に、もうひとつの目標である「教育の意思決定と資源体系」については、末冨を担い手として、アンケート調査を実施するための調査対象者の絞り込みと調査項目の設定作業を行った。調査項目については、これまで実施されてきた高校生を対象とした調査結果と歴史検証で導き出した地域的特性とを考慮したものとなるように調整中である。本年度はそのための打ち合わせに重点を置いた。 上記の二つの作業を進めつつ、さらに研究全体の概括として、行政と法の理論と経済の理論とを結合させて、就学にかかるリスクを分散して公平性を確保しうる学校設置主体についての検討会を研究協力者である早稲田大学教育学部小松茂久教授の研究室でおこない、次年度からの学会発表および投稿の準備を進めている。
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