本研究では、(1)地域における幼稚園の「子育て支援センター」としての役割について、実態を把握し、その課題、問題点を明らかにする。また、(2)モデル園の様子を調査する。(3)さらに、課題の社会学的な観点からの理由等についても考察を加え、分析をすすめることで、現実にどのような子育て支援が可能であるのか、普遍的な実践的モデルを提示することを目的としている。現在、幼稚園の子育て支援として考えられる内容として、(1)幼稚園施設の開放、(2)子育て関連施設との連携、(3)子育て相談の実態、(4)子育て情報提供の実態、(5)地域と在園保護者の交流、(6)高齢者との連携の6つが挙げられる。これらについて、どのような実施をしているのか、近隣の幼稚園にインタビューし、具体的な内容を予備調査し、アンケート項目を考えた。上記で得られた具体的な項目内容について、チェック方式と自由記述欄を設けて、12月から本調査を実施した。アンケートは、兵庫県は全公立幼稚園(478園)及び各市町のはじめの私立幼稚園(20園)に調査書を配布した。また全国のサンプリングは、各市町で行政順に一番はじめの公立・私立幼稚園に依頼した。約2000通を送付した。自由記述については、一覧表を用いて項目に付加し、次年度の第二次調査時に活用する。また、アンケート返信時に可能であれば関連資料を添付してもらった。その結果、兵庫県は60%、全国は35%の回収率であった。内容は、兵庫県では81%の幼稚園が「園庭開放」を実施しており、また地域との連携は園の行事への近隣未就園児の招待、公民館・児童館・老人会との交流は47%が実施していた。全国の比率については集計中である。また、子育て支援事業への考え方として、支援事業を行う負担はあるものの、保護者や保育者においてはそのことをとおして成長が期待でき、園の経営・保育上によい影響を与えていることが明らかとなった。ただし、予算・人員・場所の不足が指摘され、そのために教職員への負担が多いという記述が目立った。
|